片隅のユートピア

野鳥を愛するシングルシニアの雑記帳

鳥撮りも地産地消

ブログやSNSを利用すれば、野鳥の情報を簡単に得られるようになった。野鳥撮影にネットでの情報収集は欠かせない。 春の渡りも終盤を迎えた南薩。意識はおのずと薩摩半島の西側へと向かう。ヤツガシラ、クロウタドリ、ツバメチドリなど、レアな鳥たちとのエ…

マダニ襲来の春

新緑が美しい季節を迎えた。陽を浴びて輝く新緑の森を歩くのは楽しい。繁殖期を迎えて野鳥を見かける機会もグンと増えた。 気温が上昇すると虫の活動も盛んになる。沖縄にいたとき、ブヨに喰われてひどい目に遭った。それ以上に忌まわしいのはマダニに噛まれ…

無人島に歩いて渡る

指宿には知林ヶ島(ちりんがしま)という美しい響きをもつ島がある。周囲3キロの無人島だ。 3~10月の大潮、中潮の干潮時には砂州の道が出現し、徒歩で渡ることができる。4月上旬の晴れた日、知林ヶ島を歩いて一周した。 知林ヶ島に渡るのは2回目だった。…

ヤッちゃんに会いにいく

鹿児島で2回目の春を迎えた。春になるとヤツガシラが渡ってくる。珍鳥ハンターではないけれど、自分が住む南薩エリアが舞台なので無関心ではいられない。 南さつま市笠沙町はヤツガシラの飛来地として有名だ。西端にある野間半島は眺めがよく、昨年春の訪問…

D500をOM-1に換えて思うこと

OM SYSTEMのOM-1とパナライカ100-400を購入してもうすぐ1年になる。野鳥の撮影機材を軽くすることが目的だった。レフ機とミラーレスの比較を交えながら使用した感想を述べてみたい。 2、3カ月は操作に慣れずに苦労した。レフ機からミラーレスへの移行とニ…

「終わりの感覚」を読む

人間の脳は自分に都合よく過去の記憶を再構築する。そんな話をどこかで読んだ覚えがある。忘れずにいたのは、自分にも思い当たるフシがあったからだろう。 たとえば、母と昔話をすると子供時代の記憶と一致しないことがよくあった。人は皆それぞれのフィクシ…

「ノマドランド」を観る

AmazonのPrime Videoで「ノマドランド」を観た。車上生活をしながら仕事を求めて全米を移動する高齢者たちを描いた作品だ。かれらは現代のアメリカを放浪するノマド(遊牧民)にほかならない。 夫を亡くして家を失った60代のファーンもその一人。彼女は最低…

探鳥で遭う獣たち

九州で移住先を探しているとき、北九州市が候補に挙がった。関門海峡を渡ると山口県の下関市だ。Googleマップであちこち見てみると悪くない。条件のよい格安物件があれば山口県でもいいかなと思った。 その選択肢はすぐに立ち消えになった。山口県にはクマが…

ギルドの晩餐会

確定申告を済ますと春が来る。20年以上続いた春を迎える儀式は、今年から取りやめになった。昨年の収入は年金のみで確定申告が不要になったのだ。 去年の春に廃業届を税務署に出していた。四半世紀にわたる翻訳者人生に幕を下ろしたことになる。意外なことに…

オスプレイを撃て

秋の沖縄は鷹の渡りの季節だ。無数の鷹が翼を広げて上空を旋回しているシーンを見たことがある。その雄大な光景に息を呑んだ。 それでも、撮れた写真は空抜けの腹打ちばかり。海や山を背景に水平か見下ろすアングルで鷹を撮りたい。そう思って候補地を訪ねて…

動物園で鳥獣を撮る

動物は好きだけど、動物園はあまり好きではなかった。檻に閉じ込められて落ち着きなく歩きまわる動物の姿が不憫だった。きっとストレス溜まりまくりなんだろうなぁと。 緑豊かな動物園は野鳥のフィールドでもある。たとえば、鹿児島市の平川動物公園。園内に…

プロキャプチャー始動

野鳥撮影での即応性を高めるためにOM-1のカスタマイズに取り組んできた。その一環として、撮影シーンごとの設定をC1~C4のカスタムモードに登録した。 たとえば、C1には地面にいる鳥(ローポジション)、C2には鳥の飛び立ち(プロキャプチャー)、C3には木に…

OM-1の新型が出たけれど

心配していたことが現実となった。AFを強化したファームウェアは提供されずにOM-1のMarkⅡが発表されたのだ。ここ数日、ネット上ではブーイングの嵐が吹き荒れている。ユーザーへの裏切り行為だと糾弾する声もある。 鳥認識AFの問題はファームウェアで改善さ…

病院デビュー 2024

沖縄から鹿児島に引っ越して1年が過ぎた。移住後のゴタゴタや緊張が収まると、それまで影を潜めていた体の不調が表面化してきた。 たとえば、うずくような奥歯の痛み。飛蚊症も進行している。光視症の症状が出ることも。大寒を迎えて足指のしもやけも酷くな…

OM-1のC-AFと向き合う

OM-1で野鳥を撮っていると、カメラをブン投げたくなるときがある。とまっている鳥にピントが合わないのだ。撮影の状況を検証すると、ピンがこないカラクリがつかめてきた。 とまっている鳥の撮影では最小のAFターゲット(シングル)を使ってC-AFで鳥の目をね…

ニシオジロビタキのいる風景

ひとくちに野鳥写真といっても何を志向するかは人それぞれ。ざっくり言って、スポーツ派、羽毛解像派、鳥景派の3つに分類できると思う。 スポーツ派は飛ぶ鳥を主な被写体とする。カワセミのダイブが代表例だ。この分野ではカメラのAF&連写性能がモノをいう…

死ねばいくらでも眠れる

今年の冬は暖冬だという。たしかに昼間は暖かい。手間のかかる石油ファンヒーターではなく、エアコンの暖房で済ますことも多くなった。 とはいえ、朝はギンギンに冷える。起床時間の7時はまだ薄暗い。体は金縛りにあったように暖かい布団から出ようとしない…

語りかけてくる風景

野鳥撮影では望遠ズームのパナライカ100-400mmを使っている。歩いて鳥を探しながら撮るのに適したレンズだ。 ワイド端はフルサイズ換算200mmなので鳥以外の用途では使えない。そこで、風景撮影のためにリコーのGRⅡを持ち出すようになった。 メイン機材のOM-1…

そして1年が過ぎた

昨日は特別な日だった。去年の12月22日、沖縄から鹿児島の指宿へ引っ越したのだ。あれから1年。時はビュンと唸りをあげて過ぎ去った。 見知らぬ土地で家を買う。格安物件とはいえ、人生最大の買い物だ。不安がなかったといえば嘘になる。 それでも、ネット…

冬の港で撮る鳥は

冬の鹿児島でぜひ撮りたいと思っていた鳥がいた。海鳥のカツオドリだ。冬になると鹿児島の谷山港でカツオドリの豪快な狩りが見られるという。 シーズン到来だと思って様子を見に行くと、カツオドリの群れが海上を乱舞していた。エキサイティングな光景に心を…

グルテン&カゼインフリー事始め

老化は鈍化。60代半ばを迎えてそう実感するようになった。五感の衰えもそのひとつ。手足をぶつけたときの痛みも一呼吸遅れてやってくる。血が出なくて良かったと喜んでいたら、あとからじんわり滲んできたりする。血のめぐりが悪いのだろう。 その一方で、鈍…

高感度のボーダーライン

Nikon D500を野鳥撮影のメイン機として使っていた。D5ゆずりのAFをはじめ、性能面での満足度は高かった。不満点は高感度性能とライブビューのAFくらい。 とはいえ、D500の高感度はAPS-Cとしてはトップクラス。これ以上を求めるならフルサイズしかない。そう…

持たざる者の拠り所

この秋、65歳になった。48歳のときに移住した沖縄で16年暮らし、去年移り住んだ指宿での暮らしも1年が過ぎようとしている。思えば遠くへ来たもんだとしみじみ思う。 誕生日の翌日、指宿市の健康診査を受けた。結果は意外だった。コレステロールやHbA1cの値…

パナライカ100-400について想うこと

カメラ「OM-1」については何度か記事にしてきたが、レンズのパナライカ100-400mmについては詳しく触れてこなかった。購入して半年が過ぎ、今では野鳥撮影に欠かせなくなったこのレンズについて想うところを書いてみたい。 カメラやレンズなどの撮影機材を買…

冷や水を浴びる秋

それは釘を打ちつけるような音だった。近所で家を建てている。最初はそう思った。 夜の遅い時間にもその音は聞こえてきた。大工仕事ではないらしい。何の音でどこから聞こえてくるのか皆目わからない。 数日後、音の出所を突き止めた。我が家の給湯器だった…

新たなメイン機の誕生

気がつくと、野鳥撮影にD500を持ち出さなくなっていた。最後に使ったのは9月28日。10月以降はOM-1ばかり使っている。 OM-1の購入後も林道で野鳥を撮るときはD500をよく使っていた。せわしなく動く小鳥はOVFのほうが追いやすく、AFの歩留まりがよかった。 最…

在りし日に帰る旅

先週から今週にかけて東京の実家で過ごした。空き家になって8カ月。ガスは使えないけれど、電気と水道はまだ生きている。押し入れを開けると布団や枕もそのままだった。 実家の売却が決まり、来月には家の整理が始まる。自分に関係する物を確認するのが上京…

沖縄vs鹿児島 野鳥あれこれ

鹿児島で野鳥撮影を始めて8カ月が過ぎた。昨年まで住んでいた沖縄とは野鳥をめぐる環境が様変わりした。見られなくなった鳥もいれば、新たに被写体となった鳥もいた。 いま振り返ると、沖縄は魅力的な野鳥撮影フィールドだったと改めて思う。沖縄固有種であ…

渡りの秋はロマンの季節

秋は渡りの季節。珍鳥ハンターではないけれど、見知らぬ鳥との予期しない出会いは楽しい。 沖縄に住んでいたとき、地元の林道で迷鳥のミヤマヒタキと出会った。誰もいない山の中で自分だけの宝石を見つけた気分だった。 鹿児島も渡り鳥の話題には事欠かない…

毎日が旅だから

日本語教師としてインドへ行った友人のブログをときどき読んでいる。最近の記事では映画館でインド映画を見たことや、イスラム教徒の街で牛肉料理を食べたことが綴られていた。異文化を楽しんでいる様子が写真と文章でリアルに伝わってきた。 20代前半の頃、…