野鳥写真はレンズで決まる。レンズが果たす役割はとても大きい。魅力的なカメラが登場しても、好みのレンズを利用できなければ購買意欲は湧いてこない。
EXPEED 7を搭載したニコンのZ50IIが気になっていた。鳥モードの被写体検出機能があり、AF性能はZ9とほぼ同じだという。そんなカメラが13万円で買えるのだ。
AFがこれだけ進化していれば、D500の後継機種と呼べるかもしれない。使用しているセンサーはD500と同じものらしい。EXPEED 7を積んだことでAF性能は飛躍的に向上した。
問題はレンズだ。歩きまわって野鳥を探す、手持ち撮影スタイルの自分が求めるスペックは、フルサイズ換算800mmの焦点距離と1.4kg以内の重量。この要件を満たすレンズは限られる。
Z50IIには、要件を満たす望遠ズームがなかった。NIKKOR Z 180-600mmのテレ端はフルサイズ換算で900mmになるけれど、1955gとかなり重い。タムロンの150-500mmは焦点距離がやや足りず、1720gとこれまた重い。
一方、ニコンのZマウントは単焦点の超望遠レンズが充実している。400mm f4.5が1160g、600mm f6.3が1390gといずれも軽い(400mmに1.4xのテレコンをかませると560mmになる)。
とはいえ、超望遠の単焦点レンズは値段が高い。400mmの場合、価格コムの最安値で約43万円、600mmに至っては70万ちかくもする。要件は満たしても自分の手が届くシロモノではなかった。
価格以外にも単焦点レンズの使用をためらう理由があった。焦点距離が固定されるため、引くに引けないのだ。静物や風景なら自分が動けば済むけれど、野鳥でそれをしたら飛ばれてしまう。
パナライカ100-400で野鳥を撮るときはテレ端を使うことが多い。それでも、伸縮自在のズームに救われるシーンにたびたび遭遇した。
先週、アオジをローポジションで撮影したときもズームの有り難みを感じた。このときも、最初はテレ端の400mmで撮っていた。
低い姿勢をとるローポジション撮影ではままあることだが、このときのアオジも人の存在を気にせずに近づいてきた。
400mmでは画面に収まらない。300mmにズームアウトする。さらに近づいたので236mmに縮めた。まだ寄ってくる。最終的にレンズの焦点距離は195mmになった。
液晶画面のアオジが動きを止めた。顔を上げると、アオジとの距離は2メートルほど。さすがにこれ以上進むのは無理と思ったのか、向きを変えて斜面を登りはじめた。
ときに野鳥は思いがけない行動をとる。予測不能な被写体に対して、柔軟に対応できるのがズームの強みだ。
貴重なチャンスを活かせるように、野鳥撮影では今後もズームを使うことになるだろう。実際には、テレ端の400mmで撮るケースが9割以上だとしても・・・



