6月も今日から後半だ。先週は雨に塗り込められた1週間だった。その7日間の指宿の総雨量は486.5mm。これだけ降ればもう十分だろう。沖縄にならって早く梅雨明けしてほしい。
そう願って2週間の天気予報をチェックする。明後日以降は傘マークがひとつもなかった。ひょっとして、九州南部は今週に梅雨明けなのか。
今年の梅雨入りは5月16日と早かった。かれこれ1カ月になる。梅雨が明けてもおかしくない。頭をよぎった憶測は確信へと膨らんでいった。
梅雨が明ければ野鳥を撮りに行ける。そう思うと嬉しくなった。先週は雨に降られて1回しか行けなかった。
6月は夏鳥の好シーズンだ。渓流沿いのフィールドではオオルリやサンコウチョウがねらえる。姿は見ていないが、アカショウビンの鳴き声も聞いた。
この時季の野鳥撮影には虫対策が欠かせない。沖縄ではブユとマダニに苦しめられた。鹿児島ではこれにメマトイが加わることに。
沖縄で探鳥しているときにブユの猛攻を受けた。咬まれてもすぐには痒くならない。帰宅して数時間経ってから猛烈な痒みに襲われた。痒みは1週間以上も続き、発熱の症状も現れた。
これに懲りて、ブユ対策を徹底することにした。ブユの忌避効果があるハッカ油を帽子のツバにスプレーする。さらに、スコーロンという防虫素材の服を着るようにした。これが効果てきめん。それ以降はブユに喰われなくなった。
この防虫ウェア(Foxfire SCガイドフーディ)は今でも愛用している。購入してから7年が経過し、何度も洗濯しているので防虫効果は落ちているはずだ。それでも、鹿児島に来てからまだ一度もブユには喰われていない。
かわりに現れたやっかいものがメマトイだ。ブユのように血を吸うわけではないけれど、目の前をブンブン飛びまわって鬱陶しいことこのうえない。
眼鏡をしているので目に入ることはほとんどない。息を吸ったときに鼻の穴に入るのだ。これがたまらなく嫌だ。ブユには功を奏したハッカ油スプレーも効果はイマイチ。
それならばとハッカ飴をしゃぶってメマトイが来たら息を吹きかけるという奇襲作戦にでた。が、アイデア倒れに終わった。
虫のなかでも最大の脅威はマダニだろう。マダニはSFTS(重症熱性血小板減少症候群)という感染症を媒介する。2013年3月~2025年4月の12年間で1071件の発症例が報告され、そのうち117人が死亡している。高齢者は重症化のリスクが高いらしい。症例の届け出は九州などの西日本に集中している。鹿児島県は82件で5番目に多い。
自分も鹿児島に来てからマダニに3回咬まれている。SFTSへの感染は免れたけれど、それ以来「マダニ恐怖症」になってしまった。
マダニには隠れた脅威がもうひとつあった。それはα-Gal症候群の発症だ。マダニに咬まれると、その唾液に含まれるα-Galという物質が体内に侵入し、それに対する抗体が作られる。そのため、α-Galを含む哺乳類の肉を食べるとアレルギー反応が起きるおそれがあるという。これには牛や豚、羊、さらにはクジラといったすべての哺乳類が該当する。
発症のリスクは血液型によっても違うらしい。A型とO型は発症しやすく、B型とAB型は大丈夫だとか。
自分はO型だった。マダニには沖縄で1回、鹿児島で3回と計4回咬まれている。ふだんは鶏肉しか食べないので気づかずにいるだけで、もう牛肉や豚肉は食べられない体になっているのかも。
何だか急に怖くなった。1年に1回くらいはコッテリしたトンカツも食べたいんだけど。
不安を払拭するには人体実験をするしかない。冷凍食品の「すき家 牛丼の具」を昼食で食べる。α-Gal症候群のアレルギーは肉を食べてから2~6時間後に現れるとか。
人生で最後に食べた牛肉はすき家の牛丼。そうなったら哀しいなぁと思った。一人焼肉にでも行けばよかったと後悔する。
結局、アレルギー反応は起きないまま夜を迎えた。いつもは昼に食べている鶏肉のソバが夕食のメニューだった。
牛肉や豚肉は食べても大丈夫らしい。正直、ホッとした。それでも、一人焼肉やトンカツを食べに行ったりはしないんだろうな、きっと。



