昨年1月、鹿児島市の平川動物公園で購入した年間パスポートの期限が迫っていた。1年間フルに活用するつもりだったのに、実際に行ったのは2回だけ。ギリで元は取ったとはいえ、気分は晴れない。切れる前にせめてもう1回行きたいと思った。
動物園に着くとすでに10時をまわっていた。平日なのにけっこう人がいる。小さな子供を連れたファミリーが多い。子供から老人まで家族全員が楽しめる観光スポット。動物園とは本来そういう場所なのだろう。
自宅から車で40分。さして遠くはないのに足が向かなかった理由に思い至った。家族連れで賑わう園内の雰囲気に馴染めなかったのだ。野鳥を探して一人歩きまわる自分の姿が浮いた存在に思えた。
とはいえ、園内を流れる川の両岸は樹木で覆われ、野鳥撮影に適したフィールドであることに疑いはない。川沿いのエリアでは、リュウキュウサンショウクイ、ヤマガラ、メジロが姿を見せてくれた。
休養広場の芝生にはハクセキレイがいた。冬枯れで白くなった芝生がハクセキレイをくっきりと浮き立たせる。
平川動物公園では鳥も飼育されている。フライングケージではオシドリに会える。野鳥ではないけれど、美しいオシドリを間近で見ることができた。
野鳥の撮影を終えて、真っ先に向かったのはヤブイヌの檻だった。動物園で通常見られる動物はほぼ網羅されているが、ダントツのお気に入りはヤブイヌ。このブサ可愛さがたまらない。
ヤブイヌは2頭いて、オスがサキョウでメスがマドカ。動物園のブログによると、もともとサキョウ1頭だけが飼われていたが、2019年に繁殖の目的でマドカが来園する。それ以来、時間をかけて同居の練習を繰り返し、今ではすっかり仲良くなったという。
この日訪問したとき、1頭は元気がないように見えた。横になって動こうとしない。もう1頭は檻の中をせわしなく歩きまわっている。
その歩きまわっていた1頭が横たわっているヤブイヌに片足を載せて、天を仰ぐような仕草をした。その顔つきは悲嘆に暮れているようにも見える。
グッタリしているパートナーの身を案じている。写真を撮りながら、ヤブイヌの振る舞いに心を打たれていた。
野山に分け入らなくても自然のドラマは目撃できる。動物園でも日々繰り広げられているのだ。ヤブイヌの檻は、そんな新たな発見をもたらしてくれた。








