片隅のユートピア

野鳥を愛するシングルシニアの雑記帳

嵐が去った翌日は

台風が通過した翌朝、雨戸を開けようとした。が、雨戸錠がロックされたまま動かない。潤滑剤のKURE 5-56を吹き付けてやっと開けることができた。

日差しが目にまぶしい。外に出て車と家の周りをチェックする。ざっと見た感じでは、被害はなさそうだった。やれやれと安堵の息を漏らす。

心配していた雨漏りは起きなかった。強風で家はミシミシと軋んだけれど、身の危険を感じるほどではなかった。短い停電は何度か起きたのだが、いずれも数分で回復した。

築50年の粗末な家だが想像したほどヤワではない。それが率直な感想だった。今回の台風は自宅の耐久性をためす試金石となった。最初の関門はクリアしたらしい。

夕方、近くの山を散歩した。台風で飛ばされた木の枝や葉が山の道路に敷き詰められている。木々のみずみずしい香りが足もとから匂い立つ。

山頂の手前で雨が降りだした。展望台に上がっても視界はきかない。そのまま引き返すことにした。

海へ向かう道を下りていく。錦江湾を見渡す高台に農道が伸びていた。途中で雨はあがり、雲の裂け目から日差しが降りそそぐ。

さらに下ると海岸沿いの県道にでた。道を渡って浜辺におりる。台風が去った翌日とは思えない、いつもの静かな砂浜だった。

波打ち際を歩いていると、台風の置き土産を見つけた。大きな切り株だ。近くで見ると小さな穴が無数に空いている。シロアリに食われたのかもしれない。

ここ最近はシロアリのことが頭から離れない。家の基礎部分や屋根裏など、目が届く範囲は調べたのだが、蟻道は確認できなかった。

それでも、暇さえあれば「シロアリ駆除」をGoogleで検索している。6月に大量発生したイエシロアリは、どうやら頭の中に巣くってしまったらしい。