沖縄から鹿児島へ引っ越すときにテレビを処分した。ソニーのブラビア。40インチとそこそこ大きく、写りもきれいだった。
テレビのない生活を始めて3年が過ぎた。家の屋根にはアンテナがあり、天井の隅からアンテナ線が垂れていたので電波は受信できるのだろう。しかし、テレビを見たいという気持ちは失せていた。
もともと、テレビはそれほど好きではなかった。食事のときにニュースを見たり、ドキュメンタリー番組をいくつか見たりするくらい。NHKの「ドキュメント72時間」と「ガイロク(街録)」はお気に入りだった。
今は食卓にiPadを置いて動画ニュースを見ている。ニュースを見るのに40インチのテレビは必要ない。iPadで十分だった。
NHKのドキュメンタリー番組はたまに見たいと思うことがある。NHKオンデマンドの会員になり、「まるごと見放題パック」を利用すれば好きなだけ見られるけれど、毎月990円を払うのはもったいない。会員登録は無料なので、本当に見たい番組だけ単品購入(110円~220円)するという手もあるのだが。
テレビを断捨離して失ったものは何もない。残念なのは、代わりに得たモノもないことだ。
テレビを手放せば本を読む時間が増えると期待していた。実態は違った。増えたのはインターネットの閲覧時間だった。
タダで好きなだけ見られるYouTubeはその代表格。1本あたりの視聴時間が短いので気軽に見られる。1本見るとほかの動画も見たくなり、やめられない、とまらないという状態に・・・
見ているときは夢中だけど、そのほとんどは中身の乏しいコンテンツ。視聴後は何も残らない。時間を無駄にしたという後ろめたい気持ちに襲われる。
撮影機材のレビューや道具の使い方を説明した動画など、役に立つコンテンツもたくさんある。とはいえ、YouTubeをいったん見始めると、ズブズブと沼にハマってしまう。テレビをはるかにしのぐ時間泥棒だ。
YouTubeをはじめとするインターネットに時間を奪われて、昨年はあまり本を読めなかった。そこで、2026年は活字に回帰することにした。インターネットで無駄に費やす時間を読書に振り向けるのだ。
Webページの閲覧や動画の視聴は楽チンだ。読書には集中力が求められる。人は易きに流れるものらしい。お手軽なインターネットについ手が伸びてしまう。
読書の習慣を根付かせる有効な方法は何か。頭に浮かんだのは図書館だった。借りた本は返さなくてはならない。返却日までに読み切ろうと思えば、計画的に読まざるを得ない。
1日に最低何ページという具体的なノルマを課すこと。そして、借りて返すというサイクルを継続させること。それが読書を習慣付ける秘訣であるような気がした。
図書館の効用については以前も記事にしていた。いわく、図書館が読書の主役に返り咲いたと。その後、読書の習慣はYouTubeにじわじわと浸食されていくのだが。
図書館を通じて読書の習慣を再構築する試みはうまくいくのだろうか。図書館のホームページにアクセスし、文学カテゴリの「新着案内」をチェックする。マウスを動かす手がハタと止まった。
宮島未奈の成瀬シリーズの新刊本が表示されているではないか。これは読まねばならない。すでに「貸出中」なので当分借りられそうもないけれど。
ブレイディみかこの短編小説集もある。何冊か読んだノンフィクションはどれも面白かった。「新着案内」の本は貸出中が多いけれど、この本はそうではなかった。
新しい本は図書館で借りてもキレイだ。新刊本というだけでワクワクする。新着本に意識を向けることで、図書館の利用にはずみがつくかもしれない。ここにも活字回帰の鍵が潜んでいるような気がした。
