今年8月の平均気温は、去年に次いで歴代2位だという。個人的な感覚でいえば、去年よりも今年のほうが暑かった。夜になっても気温は下がらず、エアコンを付けたまま寝るようになった。
暑いから探鳥にいく気も失せてくる。週1くらいの割合で海辺の朝んぽに野鳥の撮影機材を持ちだす。それが8月の探鳥スタイルになった。
海沿いの散歩コースなので、シギやチドリとの出会いが待っている。8月上旬にはシギチの渡りが始まっていた。朝んぽでシギチを見かけたら、翌朝、撮影機材を携えて目撃場所へ向かう。そんなパターンが出来上がった。
今年も自宅近くの海岸でトウネンを撮ることができた。去年見かけたのは9月上旬なので、今年は1カ月早い。しゃがんで撮っていると、トウネンは波打ち際で採餌しながら近づいてきた。撮り放題でうれしいのだが、熱中しすぎるとあとで腰痛が待っている。
トウネンと同じ頃にキアシシギの群れも渡ってきた。トウネンと違って警戒心が強いので、近づくとすぐに飛ばれてしまう。このときは道路際の塀に身を隠しながら撮影した。本当は砂浜で低い位置から撮りたいのだが・・・
シロチドリ
シロチドリは留鳥なので、このあたりの海岸では1年を通じてよく見かける。キアシシギのように飛ばれることは少ないが、近づくとテケテケと小走りに去ってしまう。この個体は若鳥で警戒心が薄いのか、近づいても逃げなかった。
河口の干潟で出会ったソリハシシギ。嘴と脚がオレンジ色で写真映えがする。せわしなく動き回るのでバリアングルモニターで捉えるのに苦労した。
散歩コースからすこし外れた場所に立つアコウの巨木。探鳥を兼ねて寄り道したら、イケメンのイソヒヨドリが迎えてくれた。海辺の公園でよく目にする鳥だけど、年季の入ったアコウの樹皮がシブイ味を出してくれた。
海に流れ込む水路で見つけたカワセミ。海辺で撮影していたら陸側の水路へ飛んでいった。居場所の見当をつけてガードレール越しにそっと覗く。予想は当たり、岸辺の枝にとまっていた。
台風が去った翌々日、迷鳥との出会いを求めて山へいく。望みは叶わなかったけれど、木の枝にとまるキセキレイを撮ることができた。キセキレイは下から見上げたほうが映えると思った。
7月と8月は鳥枯れの季節。だから探鳥に行っても無駄。暑いなか外出したくないので、自分にそう言い訳していた。
実態は違っていた。7月でも渓流沿いの林道を歩けばオオルリやサンコウチョウと出会えたし、シギチの秋の渡りは8月早々に始まっていた。
夏の探鳥のキーワードは「水」だろう。この時季、川や海などの水辺に鳥は飛来する。涼しい朝の1~2時間、水辺のフィールドを集中的に攻めるのが真夏のあるべき探鳥スタイルなのかもしれない。