片隅のユートピア

野鳥を愛するシングルシニアの雑記帳

エゾビタキの秋

9月も今日でおしまい。先週からすこし涼しくなったとはいえ、秋の気配に乏しい1カ月だった。

2年続いた猛暑の夏。来年も暑くて長い夏になりそうだ。温暖化が日本の夏のカタチを変えていく。そう考えると気が重くなった。

終わらない夏に秋を届けてくれたものもいる。渡り鳥だ。毎年、渡り鳥を目にすると、壊れかけた地球がまだ正常に機能していることを知ってホッとする。

秋の渡りで先陣を切ったヒタキはエゾビタキ。エゾビタキは秋を告げるヒタキだ。この鳥を見ると、暑い日が続いていても、季節はまわって秋が訪れていることを感じる。

今年はエゾビタキの当たり年なのかもしれない。最初に見かけたのは去年よりも1週間早く、出会う頻度も今年のほうが高い。

オスのルリビタキキビタキジョウビタキといった他のヒタキ類と比べると地味な印象を与える。が、行動や仕草はまごうことなきヒタキのそれ。飛びながら虫を捕食して元の枝に戻る「フライングキャッチ」はその典型だ。

ヒタキの例に漏れず、エゾビタキも比較的撮りやすい。とはいえ、一定の距離を超えると飛ばれる。そのため、すこし引き気味の「鳥景写真」が多くなり、背景の選択に気を配るようになった。

幸いなことに、エゾビタキの撮影フィールドは起伏に富んだ山の公園だ。多彩な自然が織り成す色と形をどのように取り込み、光の演出をいかに施すか。そんなことを考えながら、エゾビタキをファインダーで追っていた。

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OM SYSTEM OM-1 + LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm

8月末にOM-1ファームウェアが更新された。バージョンがマイナーアップデートの「1.7」だったので、あまり期待できそうもないと思った。

案の定、手前の枝にAFが持っていかれる現象は改善されていなかった――と最初は思ったのだが、渡りのヒタキを撮り続けるうちに印象が変わった。手前に枝があるときでも、SingleのAFターゲットで目的の鳥に合わせられるようになった。たとえば、次の写真(鳥認識AFはオフ)。

以前なら手前の枝に合焦し、舌打ちしながらFnレバーでC-AFからS-AFに切り替えていただろう。このときは、C-AFでそのまま撮ることができた。S-AFへの切り替えが不要になれば、Fnレバーに電源スイッチを割り当てることもできる。今回のファームウェアで消去ボタンからメニューを呼び出せるようになったので、右手で操作が完結することになる。

今回のアップデートで謳われている「Allターゲット時の主要な被写体に対するAF性能の向上」についても、多少良くなった気がする。とはいえ、試す機会が少ないので確信はない。秋が深まってカツオドリやミサゴの飛翔写真を撮るようになれば、効果の有無を実感できるだろう。

ファームウェア「1.7」は、初代OM-1の最後のバージョンになるのかもしれない。AFにはまだ不満があるけれど、以前のようにブン投げたいとは思わなくなった。OM-1のクセを覚えて対処する術を身につけたということなのか。

それとも、小型軽量であることの優位性は他の何物にも代えがたいということなのか。重量の軽いは七難隠す――こちらが真相に近いような気もするのだが。