OM SYSTEMのOM-1とパナライカ100-400を購入してもうすぐ1年になる。野鳥の撮影機材を軽くすることが目的だった。レフ機とミラーレスの比較を交えながら使用した感想を述べてみたい。
2、3カ月は操作に慣れずに苦労した。レフ機からミラーレスへの移行とニコンからOM SYSTEMへのマウント換えが重なって、ある種のカルチャーショックを覚えた。
最初に感じたのは、OM-1は操作が難しいカメラだということ。それまで使っていたNikon D500 + Sigma 100-400/150-600は、重くてゴツいけれどシンプルで明解なシステムだった。
マイクロフォーサーズ(MFT)規格のOM-1は軽いけれど複雑という印象を受けた。長年にわたってレフ機に慣れ親しんでいたことや、60代半ばという年齢のせいもあるのかもしれない。
D500への回帰願望が頭をもたげてくるのを抑えこんで、昨年の10月からは完全にOM-1へ移行した。それから半年。D500に戻りたいという気持ちはほぼなくなった。
最大の理由は軽さだろう。高齢者にとって「軽さは正義」。軽量のシステムに一度馴染んでしまうともう後戻りはできない。
露出補正をリアルタイムに確認できることや、無音シャッターで野鳥に気づかれずに撮影できることなど、ミラーレスならではのアドバンテージも実感した。
ローポジションでの撮影が容易になったこともメリットだ。D500はライブビューのAFが遅く、ローポジションで撮影できる野鳥は限られていた。OM-1へ移行したら、地面にいる鳥をすべて狙えるようになった。
OM-1の画質に大きな不満はない。描写が甘いと言われているパナライカ100-400のテレ端も個人的には許容範囲だ。
それでも、D500で撮影した写真と比べると、あっちのほうがキレイだと思ったりもする。解像感では負けてなくても、色味や階調性など全体から受ける印象ではAPS-Cとのセンサーサイズの違いを感じる。
結局、軽さとのトレードオフなのだろう。画質を優先すればフルサイズ、画質と重量/価格のバランスがとれているのがAPS-C、軽さと機動性に全振りしたのがMFT。
D500に戻ることは恐らくもうないだろう。それでも、あの高度なAFへの信頼感は揺るがない。
OM-1で残念に思うのは、D500のAFに対する信頼感を持てないことだ。D500なら茂みの奥に潜む野鳥の目にピンポイントで合焦させることができた。それがOM-1では難しい。
鳥認識AFが功を奏して満足のいく写真が撮れることもある。ピントが合うかどうかはOM-1の気分しだいだ。肝心なショットにピンがきますようにと祈るような気持ちでモニターを見つめることになる。次に挙げるのは祈りが通じた今月の作例。
この秋にOM-1のファームウェアが提供されるらしい。AFの信頼性が高まることを願うばかりだ。それがダメでもゴミ箱ボタンでメニューを操作できるようになる。それだけでも充分に有り難いと思うことにした。