新緑が美しい季節を迎えた。陽を浴びて輝く新緑の森を歩くのは楽しい。繁殖期を迎えて野鳥を見かける機会もグンと増えた。
気温が上昇すると虫の活動も盛んになる。沖縄にいたとき、ブヨに喰われてひどい目に遭った。それ以上に忌まわしいのはマダニに噛まれた体験だった。
足首に付着しているマダニを発見したとき、噛まれてからすでに3日経っていた。ピンセットでマダニを除去したのだが、ノコギリ状の口器は皮膚に食い込んで取れなかった。
痛みや痒みはほとんどなかった。マダニが恐いのは、SFTS(重症熱性血小板減少症候群)などの感染症を媒介することだ。SFTSの潜伏期間が明けるのを不安な思いで過ごしたのを覚えている。
それから4年。マダニの傷跡は目立たなくなった。マダニに噛まれる恐怖心も薄れていった。何も考えずに草むらを歩くようになっていた。
異変に気づいたのは、渓流でカワガラスを撮影した3日後だった。最初は虫刺されの跡だと思った。シャワーを浴びて、石鹸で洗っても足のスネに付いた跡は消えなかった。
不安に駆られて拡大鏡でチェックする。マダニだった。さらに膝の裏側にも1匹。そして、ブログにはちょっと書けないような恥ずかしい場所にもう1匹。1匹だけでも大変なのに3匹も付いている。おまけに1匹はアソコに・・・
虫刺されのバイブル本「虫と皮膚炎」を見ながらマダニの種類を特定する。タカサゴキララマダニの幼虫か若虫らしい。
1~2日以内ならワセリンを使って除去できるとか。噛まれてからすでに3日経っていた。本来なら皮膚科に行くべきなのだが、診察室でアソコを露出させるのはちょっと・・・
まずはワセリン法を試すことにした。その手順も「虫と皮膚炎」に載っていた。
前回と違うのは、マダニ除去の専用ツール(ティックツイスター)があること。マダニの上にワセリンをたっぷり塗り、30分後にツールでマダニを挟み込んでゆっくり左右にまわす。
足の2匹は簡単に取り除くことができた。問題はアソコだ。しかも3匹のなかで一番デカい。
ツールの先端でマダニを挟んで慎重にまわす。がっちりと食い込んでいてなかなか取れない。地雷を除去しているような気分だった。4年前の悪夢が脳裏をよぎる。
マダニを引っこ抜いたとき、頭の中でポンという音が聞こえた。急いで刺し口をチェックする。口器は残っていなかった。思わず安堵の息がもれる。
だが、これで一件落着とはならないのがマダニのやっかいなところ。心配なSFTSの潜伏期間は6~14日。今日で10日になるが、今のところ発熱や消化器症状は現れていない。
今後、野山で探鳥するときはマダニに有効なスプレーを使うことにした。帰宅後、シャワーを浴びるときはマダニが付いていないか入念にチェックする。もちろん、アソコも忘れずに・・・
マダニに喰われながら撮影したカワガラス