心配していたことが現実となった。AFを強化したファームウェアは提供されずにOM-1のMarkⅡが発表されたのだ。ここ数日、ネット上ではブーイングの嵐が吹き荒れている。ユーザーへの裏切り行為だと糾弾する声もある。
鳥認識AFの問題はファームウェアで改善されるハズ。プロセッサーには余裕があるのだから。そう信じて荒削りなAFには目をつむってOM-1を購入した。ハナシが違うじゃないかと叫びたい気持ちは自分にもある。
その一方で、無い袖は振れないのだなとも思う。開発の資金やリソースが足りてないのだろう。センサーとエンジンを据え置いたMarkⅡではセールスポイントも限られる。AFの機能強化をファームウェアで提供したら、MarkⅡの訴求力が弱まり、売れ行きが落ちるということなのか。
MarkⅡの発表を聞いたユーザーは、ネット上でさまざまな反応を見せていた。OMDSに見切りをつけて機材一式を処分した人もいれば、不満はあるものの新機能やAFの強化に期待して購入したいというユーザーもいた。しばらくは様子見という冷ややかな反応も多かった。
自分も静観派だ。今の時点でMarkⅡを積極的に買いたいとは思わない。理由のひとつは「Olympus」から「OM SYSTEM」に変わったペンタ部のロゴ。"OM SYSTEM OM-1"だとOMが重なってうるさいし、"Olympus OM-1"を見慣れた目には違和感を覚える。
かといって、OMDSに見切りをつけてニコンに戻ることや、ソニーやキヤノンにマウント変えすることも現時点では考えていない。マイクロフォーサーズには、1キロを切る重量でフルサイズ換算800mmを実現したパナライカ100-400という唯一無二のレンズがあるからだ。
歩きまわって野鳥を探す、釣りで言うランガン・スタイルをとるシニアの野鳥フォトグラファーにとって、撮影機材の軽量化は最優先事項だ。パナライカ100-400は画角と画質の両面でこちらの期待に応えてくれた。
このレンズありきで考えれば、同じメーカーのLUMIX G9Ⅱという選択肢もある。手ブレ補正ではこちらが有利だ。今後、G9ⅡのAF(C-AF)がファームウェアで強化されれば、アップグレードの有力な候補として浮上するかもしれない。
それでも、当面は"Olympus OM-1"で野鳥を撮り続けたい。衝動的で落ち着きのないAF。OM-1はADHDの特性を帯びたカメラだ。
このAFによそ見をさせないコツはあるのか。暴れるAFをなんとか手なずけたい。そんな想いをユーザーに抱かせるOM-1は、不思議な魅力を秘めたカメラでもある。
当初、鳥認識AFは精度がイマイチで信頼できないという印象だった。一部のシーンを除いてこれまで封印していたのだが、最近はメジロやジョウビタキにも鳥認識AFを使うようになった。4~5枚連写すればガチピンかそれに近いショットが1枚は撮れる。
AFターゲットをSingleからSmallへ変えたことが功を奏したのか。それとも冬になって木々の葉が落ち、ターゲットの鳥を捉えやすくなっただけなのか。
金はあまりないけど時間はたっぷりある。そんなシニアのバーダーにとって、OM-1は格好のオモチャだ。ああでもないこうでもないという試行錯誤の日々が何気に楽しかったりもする。すこし倒錯した悦びではあるけれど・・・