気がつくと、野鳥撮影にD500を持ち出さなくなっていた。最後に使ったのは9月28日。10月以降はOM-1ばかり使っている。
OM-1の購入後も林道で野鳥を撮るときはD500をよく使っていた。せわしなく動く小鳥はOVFのほうが追いやすく、AFの歩留まりがよかった。
最近では林道の野鳥撮影にもOM-1+パナライカ100-400mmを使うようになった。理由を要約すると次のようになる。
・OM-1+パナライカ100-400mmはD500+シグマ100-400mmよりも400g以上軽い
・シグマ100-400mmのAFが以前よりも遅くなった(購入から6年以上経つので経年劣化?)
・OM-1の操作に慣れてAFの歩留まりが良くなった
・ミラーレスのメリットを実感するようになった
軽い機材に慣れてしまうともう後戻りはできない。長い距離を歩いて探鳥するシニア・バーダーにとって「軽さは正義」は金科玉条だ。
それでも、OM-1でピントの合った写真が思うように撮れないことに最初はストレスを感じた。鳥認識のAF精度はイマイチだし、SingleのAFターゲットではちょこまか動く小鳥を追いきれない。
試行錯誤を重ねることでより良い方法に気づくようになった。たとえば、AFターゲットの使い分け。静止時間が長いヒタキ類ではSingleで眼をねらい、メジロやエナガのようにせわしなく動く鳥ではSmallで顔全体をねらう。被写体や状況に応じてAFターゲットを使い分けることでAFの歩留まりが向上した。
使用回数が増えるにつれて、ミラーレスのメリットも実感するようになった。露出補正をファインダーでリアルタイムに確認できることもそのひとつ。RAW現像での露出調整が大幅に減り、多くの場合、JPEGのトリミングだけで済むようになった。
まだ試してないけれど、プロキャプチャーを使えば野鳥写真の新たな可能性を引き出すこともできそうだ。早々に見切りをつけた鳥認識もシーンによっては使えることがわかった。具体的には鳥以外の邪魔なものが少ないときだ。
たとえば、砂浜の野鳥をローポジションで撮るとき。波打ち際を歩くトウネンの撮影では鳥認識がよい仕事をしてくれた。ライブビューのAFが遅いD500では撮れなかったショットだ。
新しいカメラを自家薬籠中の物にするには、集中的に使ってそのクセを熟知すること。10月から始まったOM-1への全面的なシフトはこの思惑に基づくものだった。
APS-C一眼レフの完成形であるD500を出し抜いて、野鳥撮影のマイ・メイン機材として地歩を固めつつあるOM-1だが、メーカーのOMDSについては心配な面もある。
今年の夏に出ると噂されていたOM-1のファームウェア「2.0」がいっこうに公開されないのだ。高性能な積層型センサーを搭載し、高いポテンシャルを秘めていても、熟成されたソフトがなければ宝の持ち腐れになってしまう。
マイクロフォーサーズによるミラーレス一眼の完成形。主役の座をD500から引き継いだOM-1がそう呼ばれる日は果たして来るのだろうか。
OM-1で容易になった野鳥のローポジション撮影