片隅のユートピア

野鳥を愛するシングルシニアの雑記帳

ニシオジロビタキのいる風景

ひとくちに野鳥写真といっても何を志向するかは人それぞれ。ざっくり言って、スポーツ派、羽毛解像派、鳥景派の3つに分類できると思う。

スポーツ派は飛ぶ鳥を主な被写体とする。カワセミのダイブが代表例だ。この分野ではカメラのAF&連写性能がモノをいう。

羽毛解像派は野鳥のディテールを克明に再現する。そのため画質を重視し、フルサイズの高画素機を使用する人も多い。

鳥景派は鳥が醸す情景に主眼を置く。野鳥に花を絡めて季節感を出すなど、頭に描いたイメージをカタチにしようとする。スポーツ派や羽毛解像派と比べると、求められるカメラのスペックは高くない。

もちろん、一人で二役、三役をこなすバーダーも多い。自身を振り返っても、海にダイブするカツオドリを撮るのは好きだし、ジョウビタキが近くに来ればアップで鮮明に撮りたいと思う。

それでも、自分の原点は鳥景写真だ。もともと鳥が好きで野鳥撮影を始めたのではない。写真の好きな人間が最後に行き着いた被写体が野鳥だった。

野鳥は思い描いたイメージをカタチにするための素材だった。それが、今では野鳥が好きだから撮るようになった。好きな野鳥をアップで美しく撮りたい。そんな思いが強くなった。

当初もくろんでいた作品志向は揺らぎつつある。野鳥を通じて自然と接することで満足するか。それとも、表現に重点を置いた野鳥写真を模索し続けるか。

そんなことをつらつら考えながら野鳥を探していると、見慣れぬヒタキを見かけた。ニシオジロビタキのメスだった。東京で初めて目撃して以来、7年ぶりの出会いだった。

かわいい小鳥ちゃん。そんな呼び方がぴったりくるニシオジロビタキは不思議な鳥だ。押しの強いジョウビタキとは違って控えめではあるけれど、ジジッ、ジジッと独特の地鳴きで存在をアピールする。

ヒタキ類にしては警戒心が強く、一定の距離を超えると逃げられる。それでも遠くへは行かず、しばらくすると元の木にしれっと戻っていたりする。

結局、アップで撮ることはできなかった。どの写真もすこし引いた位置から撮っていた。

でも、これがニシオジロビタキの情景なのかもしれない。人間ではなく、出会った鳥によって写真のカタチは決まる。パソコンで写真を眺めながら、そんなことを思ったりもした。

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