野鳥撮影では望遠ズームのパナライカ100-400mmを使っている。歩いて鳥を探しながら撮るのに適したレンズだ。
ワイド端はフルサイズ換算200mmなので鳥以外の用途では使えない。そこで、風景撮影のためにリコーのGRⅡを持ち出すようになった。
メイン機材のOM-1+パナライカ100-400を首から下げて、細めのストラップを付けたサブのGRⅡをたすき掛けにする。軽いもの同士なので長距離を歩いても苦にならない。
野鳥写真を始めるまでは、山歩きで目に触れた自然の風物をカメラに収めていた。チョウやトンボなどの昆虫、花や植物、森や沢の風景等々。
今、山歩きの目的は野鳥撮影になった。それでも琴線に触れる風景と出会い、思わず足を止めることがある。体の脇で身を縮めていたGRⅡに手が伸びるのはそんなときだ。
GRⅡはAPS-Cのセンサーを搭載しているため、コンデジでありながら画質がよい。レンズが単焦点であることの不便さを画質の良さが帳消しにしてくれる。
林道を歩いているときに目にとまった自然の光景をGRⅡでサクッと切り取る。それが山歩きでの習慣になっていた。
そのGRⅡを野鳥撮影に持ち出さなくなった。iPhone 8に脇役の座を奪われたのだ。平べったいので胸のポケットにすんなり収まる。撮りたいときは即座に出せる。画質はGRⅡより劣るけれど、はるかにお手軽だ。人は易きに流れるものらしい。
iPhone 8で風景を撮るようになって半年。お手軽路線に陰りが見えてきた。iPhone 8は絵がペラいのだ。心の琴線に触れた風景のはずなのに、撮った写真は何も語りかけてこない。
GRⅡにはエフェクトモードという強みがある。個人的には「レトロ」がお気に入り。「レトロ」で切り取った風景は心に語りかけてくる。
2023年6月に鹿児島県指宿市ですべて撮影
OM-1を刀の本差に例えるなら、GRⅡはいわば脇差だ。山歩きのお供にGRⅡの「レトロ」は欠かせない。改めてそう思った。
GRⅡには後継機種のGRⅢがあり、画角が40mm相当のGRⅢxという別バージョンもある。GRⅢとGRⅢxには、それぞれDiary EditionとUrban Editionという特別仕様モデルが用意されており、どちらもシックな色彩が施されている。
買うならDiary Editionと決めている。とはいえ、13万円とコンデジにしては破格に高い。おまけに品薄で数カ月待たないと入手できないという。
ゲーミングPCの購入に13万は取っておきたい。この春にはセンサーゴミの清掃にも出したGRⅡ。半年休んで英気を養ったことだし、まだまだ頑張ってもらわないと・・・