片隅のユートピア

野鳥を愛するシングルシニアの雑記帳

Googleマップで鳥探し

昔から地図を見るのが好きだった。地図を眺めてその土地の景色をあれこれ想像する。地図はロマンをかき立てて旅へと誘うスプリングボードだった。

インターネットの地図はさらに進化を遂げている。航空写真とストリートビューを併用すれば、鷹になって空から地上を俯瞰し、特定の場所に舞い降りることができるのだ。

Googleマップは野鳥撮影のマストアイテム。これを使えば未知の土地でも撮影の候補地を見つけることができる。

キーポイントは森の植生と水の存在。航空写真で山を見れば、それがスギやヒノキの植林なのか自然の森なのか見当がつく。もちろん、野鳥が多いのはエサが豊富な自然の森だ。

自然の森に川が流れていれば、そこは有望な撮影候補地だ。水辺に野鳥が多いことはこれまでの経験から学んでいた。

Googleマップにも限界はある。ストリートビューのデータが古いこともそのひとつ。10年ほど前に撮影された画像が多い。航空写真にはある建造物がストリートビューでは見られないなんてこともザラにあるのだ。

ストリートビューでカバーされていない道もたくさんある。たとえば、細い農道や林道は表示できないことが多い。

結局、タイムラグや空白箇所を埋めるために想像力を働かせることになるのだが、それも鳥探しの一環だと思えばまた楽しい。

先週訪れた場所もGoogleマップでアタリをつけた候補地だった。周囲の山は植林が多いけれど、渓流に沿って自然林も残っている。ヤマセミがいるかもしれないと思った。

川に沿って細い道が伸びている。ストリートビューでは状況を確認できない。この道から河原に下りられるのか。

現地を歩くと、道は想像以上に荒れていた。すぐ近くを川が流れているのだが、うっそうと茂る草木に遮られている。

河原に下りられる場所をやっと見つけた。豊かな水の流れが眼前に広がり、思わず歓声が漏れる。こんな場所で野鳥を撮りたい。そう願っていた場所にたどり着いたのだ。

白黒模様の鳥が目の前を飛んでいく。ヤマセミだった。川の上を飛び交う黒い鳥もいた。カワガラスらしい。苔むした緑の岩にオオルリが飛来する。が、写真を撮る間もなく飛び去ってしまった。

川沿いの道をさらに進むと行き止まりだった。河原に下りられたのは最初の1カ所だけだった。

それでも、Googleマップは良い仕事をしてくれた。読みは当たったのだ。あの憧れのヤマセミをチラ見することができたのだから。

そのあと、カワガラスを近くで撮ることができた