10月に入り、シギチやヒタキ類の秋の渡りは佳境を迎えている。去年はエゾビタキの当たり年だった。マイフィールドでは9月上旬から10月下旬まで出ずっぱり。プロキャプチャー撮影の練習相手を務めてくれた。
去年と比べると今年はエゾビタキが少ない。それでも、普通に見かけるので例年並みか。
一方、去年は影が薄かったコサメビタキはよく目にする。エゾビタキとコサメビタキはパッと見は似ているけれど、性質はけっこう違う。
エゾビタキは見通しのよい枝先にとまることが多い。一方、コサメビタキは低めの木の枝に隠れるようにとまることが多い。
背景はきれいに抜けるが遠くなりがちなのがエゾビタキ。近めだが枝や葉っぱで煩雑になりがちなのがコサメビタキ。撮った写真の印象をざっくり言うとそんな感じだ。
被写体として好きなのはコサメビタキ。目がパッチリとして大きく、体型も丸みを帯びていてカワイイ。枝から枝へと小まめに移動するので、じっくり待てば葉っぱに邪魔されない場所で撮れることも。
コサメビタキ。シブかわいさではこれが一番
秋の渡りのヒタキで欠かせないのがキビタキだ。当地では春と秋の渡りの時期にしか見られない。メスのキビタキはそこそこ見られるけれど、写真映えのするオスは少ない。今季は9月中旬に1回撮れただけ。
先週、キビタキの鳥影が濃いフィールドを1カ月ぶりに訪れた。オスのキビタキには出会えたものの、近づけず写真の出来はイマイチだった。
不完全燃焼の思いを抱えたまま、車を停めた場所へ歩いていく。枯葉が積もった道路脇で鳥が動くのが見えた。近づくと姿はない。さらに歩くと、前方の路上で鳥が森の中へ飛び去るのが見えた。
鳥の正体が気になった。その枯葉の道ではキセキレイをよく見かけた。でも、キセキレイなら道の先へと鳴きながら飛ぶだろう。
しばらく行ってから道を引き返した。遠くから一瞬見ただけだったが、その野鳥に心当たりがあった。正体を突き止めねばならない。
先ほど見かけた場所に鳥はいなかった。そのまま通り過ぎて、キビタキの撮影ポイントまで歩いてからまた引き返す。
最初に見かけた場所の近くでその鳥を見つけた。予想どおり、イワミセキレイだ。心臓の鼓動が一気に速くなる。

イワミセキレイ。尾羽を左右に振るしぐさがカワイイ
森の中で自分だけの宝石を見つけた気分だった。イワミセキレイを見るのは2回目。前回も10月初旬だった。
不用意に動いて警戒されたらしい。イワミセキレイは森の中へ入ってしまった。しばらく待ってみたが、その場所に姿を現すことはなかった。
前回目撃したときは1日で抜けていた。今回も期待はできないと思いつつ、翌日にはその場所を訪れていた。やはり姿はなかった。
その帰り道、渡りのシギチがねらえそうな河口があることを思い出した。市街地を流れる小規模な川。前回訪れたときはイソシギしかいなかったのだが。
思いつきで寄ってみたら、予想外の展開が待っていた。川にたくさん鳥がいる。キセキレイ、カワセミ、イソシギからゴイサギの幼鳥まで。
嬉しかったのは、キアシシギとアカアシシギのペアに会えたこと。ペアとしか言いようがないくらい仲睦まじい。違う種類の鳥同士がこんなに仲良くなれるとは・・・

キアシシギとアカアシシギ。どれがどれかは一目瞭然
キアシシギはよく見るけれど、アカアシシギは鹿児島で初めて見た。そのアカアシシギを川沿いの道からアップで撮れたのは幸いだった。
この種のシギに干潟で近づくとすぐに飛ばれるのだが、ここは市街地を流れる川。川沿いを行き交う人々を見慣れているのだろう。近くから撮っても動じなかった。
夏の暑さが延々と続き、10月になっても秋の気配が希薄な日々。それでも、野鳥の世界は恵みの秋を迎えていた。
今後、地球の温暖化がますます進んで秋の渡り鳥が消滅しないことを願うばかりだ。
冬羽のキアシシギは美しい



