片隅のユートピア

野鳥を愛するシングルシニアの雑記帳

毎日が旅だから

日本語教師としてインドへ行った友人のブログをときどき読んでいる。最近の記事では映画館でインド映画を見たことや、イスラム教徒の街で牛肉料理を食べたことが綴られていた。異文化を楽しんでいる様子が写真と文章でリアルに伝わってきた。

20代前半の頃、自分もインドを旅したことがある。ヨーロッパからトルコ、イラン、パキスタンを経てインドまで数カ月かけてたどり着いた。

長旅で消耗した体にインドの旅はきつかった。衛生状態が悪くて毎日のように下痢をした。外国人とみて法外な値段をふっかけてくる客引きにキレそうになった。

その一方で、思わず息を呑むような美しい光景や心に響く情景もたくさん目にした。街中に牛や猿があたりまえのように存在し、人間と共生している姿が印象に残った。

心が揺さぶられる体験を求めて外国へいく。かつて旺盛だった海外渡航熱は自分の体内ですっかり冷めてしまった。

インドにいる友人のブログを読むと、異文化体験を楽しむのに年齢は関係ないと思う。同時にこうも思った。人にはそれぞれ旅の季節があり、自分の旅の季節はもう終わってしまったのだと。

旅は日常からの脱却だというけれど、今過ごしている一日一日が旅の日常のようにも感じる。自分の中で旅が変容を遂げたのかもしれない。

毎日が旅だから――そんなフレーズが胸にストンと落ちてきた。旅の季節は終わったのではなく変わったのだ。

沖縄も鹿児島も自分にとっては見知らぬ異郷だった。16年住んだ沖縄もすこし長居した旅の中継地に過ぎなかったのかもしれない。

鹿児島へ引っ越して9カ月が経ち、この土地にもだいぶ慣れた。それでも、今もこれからも旅人である自分は変わらない。

Googleマップを見て毎日の旅先を決める。海と山に恵まれた薩摩半島。行く場所には事欠かない。

エキサイティングなデイトリップにカメラは欠かせない。今の季節、フィールドでは渡り鳥との出会いが待っている。

かれらもまた旅人だ。警戒して周囲をうかがう渡り鳥にファインダー越しに語りかける。

長旅、お疲れさまでした。ようこそ鹿児島へ!

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https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/t/tokajar_h/20230930/20230930194643.jpg地元の公園で渡り鳥のエゾビタキと出会う