この春は花粉にひるむことなく野鳥を撮りにいく。そう心に決めていた。マスクとメガネで武装し、早起きしてフィールドに向かった。
山々はモザイク模様の新録で彩られている。若葉が萌える野山を歩くのは心地よかった。目指すフィールドでは、野鳥たちとのエキサイティングな出会いが待っていた。
今季はヒタキ類が少ない印象。それでも、山ではルリビタキの鳴き声をよく聞いた。山で会うルリビタキは警戒心がつよく、すぐに茂みの奥へ引っ込んでしまう。葉や枝が邪魔をして、すっきりとした写真はなかなか撮れない。
針穴に糸を通すように、わずかな隙間をくぐり抜けて全身を写し取る。それが山で出会ったルリビタキを撮る醍醐味であり、腕の見せどころ。
すぐに茂みへ隠れようとするルリビタキに対し、常にフレンドリーで開放的なヤマガラ。山の同じフィールドで見かける両種だが、キャラが対照的でおもしろい。撮りやすいのはヤマガラだ。動きが多彩で変化に富み、ファインダーで追うのが楽しい。
エナガは1年中見られるけれど、春の繁殖シーズンは動きが活発で近い距離から撮影できる。この日は目の前の枝に飛んできた。いつもこんなふうに撮れたら苦労しないのだが。
コマドリ
今年も渡りのコマドリを見ることができた。あの囀りを耳にするとテンションがいっきに跳ね上がる。アカショウビンと並ぶアドレナリン全開の鳥。撮りながら心臓は早鐘のように打っていた。
春を迎えるとヤブサメの鳴き声をあちこちで耳にする。とはいえ、鳴き声をたよりに見つけるのは難しい。この日出会ったのは、追いかけっこをして飛びまわるヤブサメのカップル。恋に夢中で人間が目に入らないのか、撮りやすい場所に出てきてくれた。
ホオジロ
4月にはいると、ホオジロが木の梢でさえずるようになった。木が高いと空が背景となり、あまり写欲が湧かない。この日は低木だったので、緑したたる森を背景に撮ることができた。
セイタカシギの群れが去年と同じ田んぼに入っていた。コガネノウゼンの花が田んぼを黄色く染めている。待っていると、1羽のセイタカシギがやって来た。黄色の背景と重なるタイミングで連写する。春の田んぼは美しいと思った。
去年の春は、山の公園で花を絡めてカワラヒワを写した。今年も同じ場所で撮影したのだが、満足のいくコラボ写真は撮れなかった。かわりに選んだのがこのショット。背景が気持ちよく抜けてくれた。
気がつけば4月中旬。キビタキやオオルリなどの夏鳥のシーズンが幕を開けようとしている。4月下旬にはサンコウチョウ、そして5月にはアカショウビン。エキサイティングな野鳥との出会いはこれから佳境を迎えることになる。





