片隅のユートピア

野鳥を愛するシングルシニアの雑記帳

山で遭う人

いまの時季は、早起きして山で探鳥することが多い。木々が日差しを遮ってくれるので、炎天下でもわりと涼しい。道に沿って川が流れていれば、清涼感はさらにアップする。

林道で人と会うことはほとんどない。車もあまり見かけない。たまに軽トラが通るくらい。鳥と虫の鳴き声が入り混じる山中をひとり黙々と歩いていく。自分も山の一部に組み込まれているという感覚が心地よい。

山の中だから人はいない。そう思って歩いていると、突然誰かが現れてギョッとすることがある。相手の表情が向こうもそう思っていることを告げている。

市街地に近いところでは、健康目的で林道を歩く人に会うことも。そのほとんどは高齢者だ。日陰の多い林道なら熱中症のリスクも減ると考えたのかもしれない。

声をかけてくるのは女性が多い。野鳥の写真を撮っていると話すと、おおむね好意的な反応が返ってくる。ちょっと立ち話を交わしただけなのに、足どりが軽くなっているのに気づく。

パンツ一丁で林道を歩くジイさんとも出会った。一度ならず二度までも。会釈を返してくれたので、認知症の徘徊老人というわけではないらしい。

あんな格好で蚊に刺されないのか。人ごとながら気になった。あのジイさんとまた会うかもしれない。そう思うと気持ちが萎えた。その林道からは自然と足が遠のいていった。

ひとけのない林道に車がポツンと停まっていることもある。軽トラならいいけれど、林道にそぐわない車だと緊張する。探鳥に来ていて練炭自殺の発見者になったらシャレにならない。目張りした車に遭遇したことはまだないけれど。

自殺志願者でもなければ、山仕事に来ているのでもない。ただ1人になりたくて林道に車を停めている。そう思える人もいた。

そんなオーラを発している車には近づかないようにしている。誰でも1人になりたいときはある。プライベートの時間を邪魔したくなかった。

林道で人と会うことはまれだけど、人を思わせる木にはたびたび出会う。人のポートレート写真を撮るように、そうした木の情景をGR IIの「レトロ」で写しとる。たとえば、次のような写真。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/t/tokajar_h/20250721/20250721134335.jpg

倒れかけている木が電線に引っかかっている。電線は木を支えているのか、それとも木が倒れるのを邪魔しているのか。「放してくれよ~」という木のぼやきが聞こえてくる気もするのだが。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/t/tokajar_h/20250721/20250721134330.jpg

道をはさんで対話している2本の木。左が男で右が女。夫婦のようにも兄妹のようにも見える。

この写真を撮った林道でパンツ一丁のジイさんと出会った。ワイルドな格好に度肝を抜かれたけれど、尋常でない猛暑の夏を乗り切るにはあれくらいがちょうどよいのかも。