7月の第一日曜日。今日は鹿児島県知事選の投票日だ。鹿児島県民として迎える初の選挙。
あまり関心はなかった。天気が悪ければ行くのはヤメよう。正直、そう思っていた。
沖縄では毎回投票に行っていた。名護市長選であれ、沖縄県知事選であれ、沖縄の選挙は明快だった。普天間飛行場の辺野古移設を受け入れるかどうかが常に争点だった。
鹿児島県知事選の立候補者は3人。うち1人は現職知事で男性、2人は無所属新人で女性。今回の選挙では何が争点となり、立候補者は何を訴えているのか。まずはそれを知る必要があった。
要望を満たすWebサイトが見つかった。それは投票マッチングサイト。Webページの質問に答えると、立候補者の考えとどれだけ近いかが数値(%)で示される。11項目の質問に答えれば、選挙の争点もおのずと明らかになる。
個人的には、「最低賃金を全国平均並みに引き上げるべきか」、「高齢者福祉よりも若者定住促進を政策として優先すべきか」「災害対策の県予算を増やすべきか」「川内原発の運転延長に賛成か」といった項目に関心を持った。
質問にすべて答えると、各候補者とのマッチング率が表示される。2人の女性候補者とは81%、現職知事とは65%だった。
同率だった候補者2人の回答をチェックする。各質問には「賛成」「やや賛成」「どちらともいえない」「やや反対」「反対」の5択で答えることになっていた。
自分の回答と候補者2人の回答を照合し、より近いと思われる女性候補者を最終的に選んだ。この投票マッチングサイト、東京都知事選や静岡県知事選でも使われている。
マッチングサイトは候補者への距離感をグンと縮めて選挙の争点を浮き彫りにする。今後の選挙に欠かせないツールだと思った。
質問に答えることは、自身の老いと向き合うことでもあった。「若者政策を優先すべきか」の問いには「反対」と即答したし、「原発の運転延長に賛成か」の問いには躊躇しつつも「やや賛成」と答えた。そう長くはない人生、安全性よりも電気代が安いほうを選んでいた。
投票は朝一で済ませた。投票所は近くの小学校だった。その裏山の道を通って帰る。路傍に咲く月桃の花を眺めながら、雨に降られなくてよかったと思った。
月桃の花。2021年に沖縄で撮影