鹿児島への移住にあたっては、物件の状態や周囲の環境、生活の利便性について細かくチェックした。コンビニやドラッグストア、鉄道の駅が徒歩圏にあることをGoogleマップで確認し、自然災害に見舞われても命が危険にさらされないことをハザードマップで確かめた。
とはいえ、その場所に実際に住んでみないと本当のところはわからない。どこに住もうと問題はやがて顕在化する。都会には都会の、田舎には田舎の問題が。
いま住んでいるのは畑に囲まれた住宅街。当然、まわりは農家が多い。そのせいか、野焼きが日常的に行われている。
隙間だらけの家なので、窓を閉めていても野焼きの臭いが入ってくる。草や木ならまだいいけれど、ゴムやビニール、プラスチックも燃やしているらしい。
不快な臭いを長く嗅がされて頭が痛くなったこともある。洗濯物を干しているときに野焼きの煙が流れてくると、パジャマや枕カバーに臭いが付かないか心配になる。
農村エリアなので野焼きに抵抗がないのだろう。自宅の庭でも畑でやるのと同じ感覚で燃やしている。指宿はゴミの選別が細かい。「ええい、面倒だから燃やしちまえ」というノリなのかもしれない。
一部の例外を除いて、野焼きは法律で禁止されている。野焼きの苦情が多く寄せられていると市の放送も伝えていた。それでも野焼きは無くならない。皆がやっているからウチもと思っているのかもしれない。
野焼き対策としてできることは限られる。思いついたのは、シリコーンコーキングで家の隙間を埋めること。必要な製品は購入してあるのだが、大仕事なのでズルズルと先延ばしにしている。
もうひとつの問題はノラネコだ。自宅の周りに何匹か居て、うちの敷地にも入ってくる。
庭で用を足しているところを見たことはないけれど、猫の尿と思われる悪臭が漂っていたり、糞の痕跡を見かけたりする。車のボンネットとフロントガラスに猫の足跡がクッキリ付いていたことも。
猫の鳴き声も悩ましい。夜寝ているときに、さかりのついた猫の鳴き声で起こされたことが何度もあった。鳴くだけでは飽き足らず、家の床下で2匹の猫が組んずほぐれつ大暴れしたこともある。
毎日エサをやっている人がいるのだろう。首に鈴が付いているのを見たことがある。飼うなら飼うで、自宅の室内で責任を持って飼ってほしいのだが。
地域のコミュニティが管理しているノラネコを「地域猫」と呼ぶらしい。近所のノラネコが「地域猫」なら、これ以上増えないように不妊手術を受けているかもしれない。
淡い期待はすぐに打ち砕かれた。朝早く野鳥を撮りに行くとき、生まれたばかりと思われる4~5匹の子猫を目撃したのだ。不妊手術どころか量産体制に入っている。今でも十分に迷惑なのにさらに増えそうだ。背筋がスーッと冷たくなった。
ノラネコへの対策はいくつか試していた。ダイソーで売っている猫の忌避剤とか。効果のほどはよくわからない。買ってすぐだと臭いも強いのだが、時とともに臭いは薄れて効果も薄れていくような・・・
ノラネコ対策の切り札として密かに期待を寄せている商品がある。それは、超音波を使った動物撃退器。センサーで猫を感知し、超音波を出して追い払う。3千円ほどなので試してみる価値はあると思う。
猫は水を嫌うとか。故に水鉄砲も効果があるらしい。水鉄砲なら数百円で買える。でも、今のところ使うつもりはない。
猫に水鉄砲を撃っている姿を人に見られるのが恐いのだ。水鉄砲で猫を虐待していると噂になるかもしれない。 ただでさえ、得体の知れない移住者だと思われているのだから。
野鳥撮影のフィールドで見かけたノラネコ。どこもかしこも猫だらけ